英検3級は学習範囲が広いため、1日で全ての範囲をやり込むことはほとんど不可能でしょう。英検3級は出題される文法の範囲や扱われる単語数が多いのに加え、ライティングやスピーキングを含めた4技能をチェックされる試験です。
英語の基本を総合的に身につけていなければいけません。
ただ逆に言うと、すでに英語の基本がきちんと身に付いている人は、英検3級の学習範囲をほぼカバーできているということでもあります。
その場合は一夜漬けでの合格も不可能ではありません。
ここでは一夜漬けでできる勉強方法をご紹介するので、ポイントを絞って効率よく学習してください。最後まであきらめず、合格を取りにいきましょう。
英検3級を一夜漬けで取得することの難しさを知っておこう
そもそも英検3級の難易度は、中学卒業程度です。3級では英語の基礎力定着を目標としているため、身近なことに関する内容が出題されます。
とはいえリスニング・リーディングに加えライティングやスピーキングの力も審査されるため、バランスのとれた英語力が必要です。さらに関係代名詞や現在完了形などの間違えやすい文法が含まれることもあり、合格率は例年50〜55%ほどです。
詳しくは英検3級の難易度について解説しているページでご紹介しますが、基礎とはいえ油断はできないレベルだと考えておきましょう。
英検3級の分野別 一夜漬けのやり方を徹底解説
実際の試験でどういう内容が出題されるのか、そしてどういう試験形式になっているのか、という点は学習を始める前に知っておく必要があります。
そのため、まずは英検3級の過去問を解くことを強くおすすめします。
まだ数日余裕がある場合は、「直前対策 英検3級 3回過去問集」(旺文社)を手に入れるのも良いでしょう。丁寧な解説やダウンロードできる音声が付いている上、英検3級の二次試験対策に使うこともできます。
一方でまさに明日が試験という場合は、英検のホームページ上で公開されている過去問を使っても構いません。とにかく試験形式を知ることが大切です。
そして過去問を解くもう1つの目的は、重点的に学習すべき分野を見極めることです。ある程度点数が取れる分野は後回しにして、苦労した分野や時間がかかった分野を中心に学習しましょう。
一次試験対策
リスニング
リスニングは3部構成になっており、第1部はイラストを見ながら音声を聞く問題です。第2部・第3部に比べて分かりやすい応答が多く、質問の文頭を聞き逃さなければ答えやすいはずです。
そのため、第2部・第3部に重点を置いて学習しましょう。
しばらく英語を聞いていなかった人は、英語の音に耳を慣らすことが先決です。初めはスクリプトを見ながらでも良いので、音声のスピードについていってください。なかなか聞き取れない場合は、スクリプトの音読やシャドーイングも効果的です。この時ただスクリプトを読むのではなく、英文の意味を考えながら読むようにしましょう。
音声が聞き取れるようになってきたら、音声が流れる前に選択肢を見ておく余裕をつけます。出てくる話題や単語に予測がつけば、より音声が聞き取りやすくなるためです。ただ、後半になると余裕がなくなってくるかもしれません。なるべく答えるスピードを上げ、常に少し先を見ていられると理想的です。
携帯電話などに音声のダウンロードをしておけば、試験直前まで英語の音を聞くことが可能です。特にリスニングが苦手な人は、しっかり耳を慣らしてから本番に臨みたいところですね。
長文
問題の難易度はそう高くないですが、長文で点数がとれないという人は少なくありません。読むのに時間がかかってしまうこと、もしくは語彙力が不足していることが原因です。
実際のところ、一晩で英文を読むスピードを上げるのは難しいでしょう。ただ、長文問題に必要なのは英文を速く読む力ではなく、素早く答えを見つけ出す力です。最短で文章の全体像を把握するためには、読む順番が何より大切になります。英文の頭から終わりまで全てに目を通す必要はありません。
- 最初にタイトル(Eメールの場合は左上にある「Subject」)を読む
- 設問を読む
- 本文を読む
この順番が効率的です。まずタイトルを読むことで、文全体が何について書かれた内容なのか予想が付きます。その上で設問に目を通し、文中から何の情報を探すのかはっきりさせてください。
本文を読む際は、設問に関わるキーワードを探しましょう。設問に関係ある部分がしっかり理解できれば、関係ない部分は読み飛ばしても問題ありません。
そして語彙力が不足している場合は、ともかく単語を覚えるしかありません。また、単語は学習効果がすぐに出るため、直前の学習にはぴったりです。
長文の前に出題される空所補充問題も、文法力と単語力が試されています。残された時間が少ないのであれば、文法を全て復習するよりも単語問題を確実に取りにいく方が現実的です。英検3級に必要な単語は2000字程度と言われているので、足りていない自覚がある人はぎりぎりまで語彙を増やしましょう。
「英検3級 でる順パス単」(旺文社)は、単語が出題されやすい順に並んでいるため、効率的に覚えることができます。手元に単語帳はないけれど試験は明日…という場合は、問題を解いて分からなかった単語をひたすらノートにまとめてください。単語を書きながら発音もしていくと、より記憶が定着しやすくなりますよ。
長文の学習ポイントは2点です。
- 読む順番を意識し、素早く文の全体像を把握する
- 語彙力を増やす
特に語彙力は他の問題でも活かせる力です。「残り時間で何をやろう」と迷った際は、語彙を増やすようにしましょう。
ライティング
ライティングの出題パターンは一定で、ある内容について理由付きで自分の意見を述べるというものです。最初に「自分はこう思う」ということを述べ、理由を2つ続ける形で書きましょう。テンプレートとしてこの形を覚えておき、適切な接続詞でつなぐようにします。そのためライティングで使える接続詞やフレーズを増やしておくと良いですね。
ただ、気をつけなければならない点が2つあります。
1つ目は語数制限があること。3級は25〜35語が目安とされています。
多少の増減は問題ないですが、大きく逸脱すると減点対象となってしまいます。まずはシンプルな文でテンプレートを作り、そこに肉付けしていくと書きやすいでしょう。
2つ目は時間配分について。
ライティングは最後のページに載っているため、問題用紙を初めから解いていくと時間が足りなくなる恐れがあります。その結果「1文字も書けなかった」となってしまうと、確実に不合格となってしまいます。
ライティングは一次試験の配点において3分の1を占めるため、最低でも部分点は必要なのです。時間に余裕がない人や不安な人は最初にライティングに取り組み、何かしら書いておくと安心です。とはいえ質問と応答が対応していないものは0点となるので、気をつけてください。
- テンプレートは「主張→理由1→理由2」
- 接続詞やフレーズを学ぶ
- 語数制限や時間配分に気をつける
この3点を意識しながら問題演習を行ってください。ライティングは直前でも比較的点数を上げやすい分野です。
過去問などを活用しながら何種類かのパターンに挑戦し、解説や模範解答をしっかり読みながら解答の型を身につけていきましょう。ライティングが特に苦手だと感じている方は、英検3級のライティングに関して詳しくまとめている記事があるのでぜひ参考にしてください。
時間があるようなら「7日間完成 英検3級 予想問題ドリル」などでトレーニングをするのも良いですね。
二次試験対策
まず最初に、面接の流れを確認してください。英検のホームページに載っているバーチャル二次試験が参考になるので、1度は見ておくと安心です。
また、入室から退出までは全て英語でのやりとりとなります。「聞かれていることが分からない」とならないよう、何を聞かれるのか知っておきましょう。
スピーキング力が問われる内容は、下記の4種類です。
- パッセージの音読
- パッセージについての質問(答えは文中にある)
- イラストについての質問 2問
- 受験者自身のこと 2問
聞く時や話す時は面接官の方を向き、大きな声を出しましょう。発音や解答だけでなく、英語でのコミュニケーションに対する意欲や態度も評価点となるためです。
したがって話す時も下を向いている、あるいは不自然な沈黙を繰り返すと減点につながってしまいます。すぐに答えられないときは「Well…」「Let me see…」などを使いましょう。面接官の言ったことが聞き取れなければ、「Perdon?」を使っても問題ありません。ただ、何度も聞き返すと減点となる恐れはあります。1〜2回で聞き取れるようにしてください。
できれば1度は過去問などを使った練習をしておくと安心です。家族に面接官役をお願いするか、自分の声を録音しながら行っても良いですね。入室時の「Hello.」やカードの受け渡し時の「Here you are.」など、簡単な挨拶も忘れないようにしましょう。
英検3級の二次試験対策に関しては、どのようなことが聞かれるのかなどさらに深堀りした記事があります。ぜひ参考にしてください。
英検3級 一夜漬けの最終仕上げ
過去問や分野別の対策が終了したら、ぜひ最後にもう1度問題演習をしてみましょう。時間を測り、本番と同じようにやってみてください。過去問でも良いですし、最後は予想問題に挑戦してみるのも良いですね。6割〜7割の点数をとることができれば、十分合格点に乗っているはずです。
もし点数が6割に満たなかったならば、原因を明確にしてください。時間が足りなかった、苦手な問題が多かった…などの理由が分かれば大丈夫です。間違えたところは解説をしっかり読み、次に間違えなければ問題ありません。時間が足りなかった場合は「ここまで○分で解く」という配分を決めてから試験に臨みましょう。
いずれの場合もわからなかった単語やフレーズは書き出しておき、試験直前に再度見直しをしてください。「昨日やったのに忘れてしまった」ということがないようにしたいところです。
英検3級の一夜漬けは、試験直前だからこそポイントを絞った学習をしよう
英検3級は中学英語の総まとめというレベルなので、英語の基本ができている人にとっては本来解けるはずの問題です。ただ、問題形式を知っておかないと時間配分や答え方のコツがつかめませんので、最低でも1度は過去問を見ておいてください。
そして今から一夜漬けをする人は、苦手箇所を優先して学習しましょう。目標は問題に慣れ、解くスピードを上げることです。加えて空いた時間で単語やフレーズを1つでも多く覚えておきましょう。
今からでもやれることはたくさんあります。最後まであきらめずに、英検3級の合格をつかんでください。
コメント