英検5級の目安は中学初級程度で、一般動詞や疑問文、疑問詞や代名詞など英語の基礎となる文法範囲も出題されます。近年では小学校での英語学習が必修化されたこともあり、小学生の受験者が増えてきました。
英検5級の対策を通して英語の基礎をしっかり作っておけば、中学生になってから本格的な英語学習がスタートしても安心です。英検の取得状況によっては受験時の優遇措置を取る学校もあるため、中学入試を考えている場合も英検は大きなポイントとなるでしょう。
とはいえ試験の推奨目安が「中学初級」であるにも関わらず、小学生が合格できるのかという不安もあるかもしれません。ここでは英検5級を詳しく解説し、学習方法もご紹介します。ぜひ漠然とした不安を払拭し、前向きに英検5級へのチャレンジを考えてみてください。
英検5級 小学生の合格率
2016年度以降、公式の合格率は発表されていませんが、以前は英検5級受験者の80%超が合格していました。小学生の場合も全体の合格率とほぼ変わらず、80%前後の受験者が合格しています。試験のレベルに大きな変動はないため、現在も80%ほどの合格率と考えて良いでしょう。
英検ではCSEスコアによって合否が決まるのですが、5級の場合は850点満点のうち419点取れば合格できます。そのため少しハードルの低い試験のように感じられるかもしれません。
ただ、英語の基礎を学校でしっかり習っている中学生以上に対し、小学生は自力で基礎を身につけてから試験に臨む必要があります。どういった問題が出るのかあらかじめ知っておき、それに合わせた対策を行いましょう。
英検5級の合格ラインや配点については、こちらの記事でも解説しています。
初めて英検5級を受ける小学生はここを確認
初めて英検を受ける場合は、学習を始める前に確認しておくべき点があります。そもそも英検を受ける準備が整っているかチェックし、整っている場合は試験の内容をあらかじめ見ておきましょう。
英検デビューが可能か
小学生の場合、試験そのものに慣れていない場合が多いです。英検公式ホームページの「英検 for kids!」に記載されているチェックシートを参考に、受験の準備ができているか確認してください。
保護者がそばにいなくても1人で静かに試験が受けられる
試験開始前であれば保護者も一緒に入室し、解答用紙に必要事項を記入する補助などを行うことができます。ただ、試験開始時に保護者は退出しなければません。もし保護者と離れられずに泣いてしまうようなことがあれば、他の受験者にも影響が出てしまいます。
そのため「知らない場所で1人になっても落ち着いていられる」ということは、受験を決める際の大切な条件となります。また、試験中についひとり言を言ってしまうことがないよう、静かに問題を解く練習もしておきましょう。
長時間机に向かうことができる
試験時間は45分間で、小学生にとっては長い時間です。試験開始前にはガイダンス等もあるので、実際に机に向かっている時間はもっと長くなります。
集中力が切れて音を立ててしまう、あるいは体をふらふら動かしてしまうと、他の受験者の集中を妨げることにもなりかねません。「解き終わったら静かに待つ」ということをしっかり伝えておきましょう。
また、会場によっては大きめのイスや机を使用することがあります。高さ調整用のクッション等を持ち込むことができるので、必要であれば準備しておいてください。
困ったことがあったら自分で伝えられる
試験前にトイレに行っておくのは基本ですが、緊張から試験中にトイレに行きたくなってしまう、あるいは急に具合が悪くなってしまうこともあるかもしれません。そうした場合は静かに手を挙げ、自分で試験監督者に状況を説明する必要があります。
試験に関する注意事項や英検の問題について分かっている
注意事項についてはガイダンスでも説明されますが、子ども向けの説明ではないため分かりにくい場合があります。そのためあらかじめ家で話をしておくと安心ですね。
また、試験問題については一切質問が受け付けてもらえません。どういう問題なのか、どのように答えるのか、という点はあらかじめ理解しておいてください。事前に英検の問題形式に沿った対策をしておくと、試験本番も落ち着いていつも通りの力を発揮できるでしょう。
解答用紙のマークシート欄を塗りつぶすことができる
マークシートは小学生にとってあまり馴染みのないものです。塗りつぶす欄も小さいので、うまく鉛筆を動かさないとはみ出してしまうこともあります。また、問題用紙に直接丸をつけてしまうと採点されません。少なくとも1度はマークシートを使った練習を行っておくと良いですね。
英検5級の試験の内容
英検の大きな特徴は、上述の通りマークシート形式ということです。本番で戸惑うことのないように、練習用のマークシートを使って塗りつぶす練習をしておきましょう。
試験項目はリスニングとリーディングの2つです。リーディング試験を25分間行った後、20分ほどのリスニング試験が行われます。リーディングの次にリスニングが行われることもきちんと理解しておきたいところですね。
リーディングは語彙や文法知識を問う問題が多く、空所補充や並べ替え問題が出題されます。リスニングで出題されるのは、会話の中で当てはまる応答文を選ぶ問題や、内容に関する質問の答えを選ぶ問題です。両分野のCSEスコアの合計が419点以上であれば合格ということになります。
また、5級の受験者は任意でスピーキングテストも受けることができます。英検5級の合否には関わりませんが、英語力をバランス良く身に付けるためには受けておくと良いでしょう。Webを使った録音形式の試験で、音読や質問に対して答える力が問われます。
小学生の英検5級 勉強方法
小学生は英語の基礎をきちんと習ったことがない子も多いでしょう。その点が中学生以上の受験者と大きく違います。したがって小学生に合わせた勉強方法が必要になります。
リスニング
リスニングの問題形式はかなりパターン化されているため、何度も繰り返していると形式に慣れ、解き方が身に付きます。
近年では幼い頃から英語を聞いていて、英語を聞きとる耳が育っている子も増えています。そのためある程度英語を聞き慣れている子であれば、過去問などを通して問題演習を重ねていきましょう。問題に慣れていくにつれ、正答率も上がっていくはずです。
一方であまり英語に慣れていない、自信がないという子の場合は、問題演習の他に音読を取り入れるのも効果的です。英検5級には複雑な英文は出てこないため、シンプルな英文で構いません。過去問に出てくる文や単語帳の例文などを使って、リスニングと音読をセットで行ってください。この時意味を考えながら音読するようにしましょう。
リスニングのコツや解き方のポイントについては、こちらの記事で解説しています。
リーディング
英検5級の場合、リーディングで苦手とされることが多いのは大問3の並べ替え問題です。並べ替えには文法知識が必要ですが、小学生にとってはほとんどの文法が初めて学ぶ内容です。したがって文法を1つずつ丁寧に解説していくと時間もかかり、本人の負担も大きくなってしまいます。
そこでおすすめなのが、先に定型文を覚えてしまう方法です。例えば現在進行形を覚える際に、「He is playing soccer.(彼はサッカーをしています)」という文を丸ごと覚えてしまいましょう。実際に声に出して発音しながら覚えるようにすると、より効果的です。形を覚えた後は意味をしっかり確認し、理解度を深めます。
また、問題に何度も触れることで、出てくる文法にも慣れていきます。暗記だけに偏らず、問題演習も並行して進めてくださいね。
小学生にとってはモチベーションの維持も重要で、思うように進まないと嫌になってしまう子もいます。いきなり難しいものをやらせるのではなく、少しずつレベルを上げながら、できたところをたくさんほめて伸ばしてあげましょう。
英検5級を受験する小学生に単語学習は必須
英検5級で必要な単語数の目安は600語です。また、単語が分からなければ問題は解けませんし、見て意味が分かるだけではリスニングに対応できません。スペルと音、意味を合わせて覚える必要があります。
特に数字や月、季節などは出題されやすく覚えづらいので対策しておきましょう。絵で覚える単熟語(旺文社)は単語をイメージで理解しやすいので、小学生にもおすすめです。
英検5級で出題される単語についてすぐに知りたい人は、こちらをご覧ください。
小学生におすすめの英検5級問題集
問題集も小学生向けのものが豊富に出ています。イラストが付いている、フルカラー印刷であるなど見やすさの工夫がされている他、漢字にふりがなが振ってあるので安心です。
重要表現の解説と問題演習のバランスが良いことに加え、例文も豊富です。まずは英語の音を聞き、それを真似して声に出し、最終的に文字での理解につなげるという流れなので、効率的に学習することができます。
「スピーキングテスト丸分かりBOOK」という別冊も付いており、英検5級を総合的にカバーすることができる1冊です。
文法用語を使わずに重要な表現が解説されているため、抵抗感なく学ぶことができます。また、ポイントごとに問題演習が組み込まれているので、リーディング対策にぴったりです。マークシートが付いていて、本番さながらの練習ができるのも嬉しいポイントですよ。
他にも英検5級におすすめの参考書はいくつかあるので、こちらも参考にしてください。
英検5級にはオンライン英会話も効果的
近年増えているオンライン英会話では、リスニング力やスピーキング力を中心に総合的な学習をすることができます。英検に特化したコースもあり、級のレベルに合わせた単語や文法まで対策可能です。英検5級の内容はシンプルな英文や会話文が多いので、初めてオンライン英会話に挑戦する人も取り組みやすいです。
実際に英語を使う経験ができると英語学習に対するモチベーションも上がるので、1度体験してみるのも良いですね。オンライン英会話だと自宅で気軽に受けられる上、小学生の場合は特に、机に向かうよりも集中しやすい場合があります。
英検対策の観点からスクールを選びたい方はこちらを参考にしてください。
小学生に合ったクラスを選びたい方はこちらの記事が参考になります。
英検5級に合格して自信をつけよう
中学初級レベルと言われる英検5級ですが、小学生でもしっかり対策すれば十分合格することができます。英語の基礎が身に付いていると、本格的な英語学習が始まっても出だしでつまずくことがなく安心ですね。
小学生が受験する場合は、保護者主導で学習計画を立てることも多いですが、無理なスケジュールを組んでやる気を削ぐことのないよう注意してください。モチベーションの維持にも保護者のサポートが大切なので、子どもの様子を見ながら楽しく学習できるよう環境を整えましょう。
英検5級の合格は今後の英語学習における重要な1歩となります。親子で協力し合い、合格目指して頑張ってください。
英検5級の詳しい学習方法については、こちらの記事で解説しています。
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