2016年度に英検の形式が一部変更となり、5級にはスピーキングテストが導入されました。英検5級の合否には関わらないものの、リーディングやリスニングの試験と同様にCSEスコアを用いた合否判定が出ます。
スピーキングテストが導入された背景には、「使える英語力」を育てるという目的があります。そのためには受信系の力であるリーディングやリスニングだけでなく、発信系の力であるスピーキングとライティングも含めた4技能を伸ばすことが大切なのです。将来的に3級以上を受験する場合は、スピーキング力を含めた4技能が審査されます。
そのための下地作りとしても役立つスピーキングテストについて、詳しく見ていきましょう。
英検5級 スピーキングテストの概要
スピーキングテストは別途で申し込む必要はありません。英検5級の申し込みをした人であれば全員が1回受験することが可能です。まずはスピーキングテストの内容について知っておきましょう。
- STEP1準備物の確認をする
一次試験の受験後に成績表が届きますが、ここに英検IDとパスワードが記載されているので準備しておきましょう。また、オンラインを通した録音形式の試験なので、パソコンやスマートフォンなどのインターネット環境が必須です。
- STEP2準備した機器が試験に対応していることを確認し、ログインする
英検の公式ホームページから、スピーキングテスト特設ページに入ることができます。この時周りが静かな環境であるか、通信状況に問題はないか確認しておきましょう。
- STEP3画面の表示に従って受験級や動作環境の確認をする
音量確認などもこのタイミングで済ませておきます。ここは保護者が手伝っても良いため、小さいお子さんでも安心です。
- STEP4テスト形式の受け方について説明を受ける
画面越しに面接委員が指示を出し、進行します。ここでも保護者が補足説明を行うなど、サポートすることが可能です。
- STEP5テスト開始、問題カードが提示される
ここから先は保護者がサポートすることはできません。操作が不安な場合は受験前に親子で流れを確認しておいてください。
問題カードが提示されたら20秒間黙読するよう指示が出るので、パッセージに目を通しましょう。聞き取れなかった場合は「もう一度聞いてやり直す」というボタンを押し、聞き直すこともできます。
- STEP6問題カードを音読し、録音する
次に面接官から大きな声で音読するよう指示が出ます。ブザーが鳴った後に録音が始まるので、残り時間に注意しながらはっきりと音読してください。
残り時間がなくなった場合は、自動で次の問題に進みます。残り時間が余った場合も、次の問題に進むまでは待つようにしてください。
- STEP7問題文について質問されるので、答えを録音する
- STEP8自分自身について質問されるので、答えを録音する
音読の際と流れは一緒ですが、その場で聞かれたことについて答えるため、瞬発力が必要となります。事前の対策が欠かせない問題です。
全部で5分足らずの短い時間ですが、独特の緊張感がある中で集中して取り組む必要があります。焦ると実力が発揮できないこともあるので、落ち着いて臨めるように準備をしっかりしておきましょう。
合否判定について
リーディングやリスニングの試験と同様にCSEスコアを用いて判定されます。満点スコアが425点の中合格スコアは266点なので、多少余裕があると言えるかもしれません。
詳しい採点基準は公表されていませんが、審査の目安は「初歩的な内容についてやりとりすることができる」とされています。そのため質問に対して的確に答えているか、正しく発音できているか、という点を意識すると良いでしょう。
英検5級の合格率についてはこちらの記事で解説しています:
英検5級のスピーキングテストは受けない人もいるみたいだけど受けたほうが良い?
英検5級においてスピーキングテストは任意受験であるため、受験しないことも可能です。あくまでも英検5級の合否を決めるのはリスニングとリーディングの結果であるため、スピーキングテストを受けないからといって問題にはなりません。
ただ、以下のメリットがあるため、スピーキングテストも受験することをおすすめします。
英検の3級以上では、二次試験でスピーキング力の審査もあります。そして5級のスピーキングテストは、この二次試験と形式がほぼ同じなのです。スピーキングテストを受験しておけば二次試験の予行演習にもなりますし、早い段階で自分の弱点をはっきりさせることができますよ。
また、スピーキング力は一朝一夕に身に付くものではありません。実際に何度も自分で声に出してみる、話してみるという経験の積み重ねが必要です。スピーキングテストの対策を通してこの経験を重ねていくことも、将来的な英語力の向上のために大切と言えるでしょう。
成績表を通して現在の力を客観的に把握することもできるので、ぜひチャレンジしてみてください。
英検5級 スピーキングテストの例題
それではどんな問題が出題されるのか見てみましょう。
見本となる例題をを1つご紹介します。
解説
まず、質問文の文頭を聞き逃さないように注意しましょう。何について聞かれているかが分かったら、パッセージの中から答えを探します。この場合「How old 〜?」という疑問文なので、年齢の話だということが分かりますね。
年齢について書かれているのは文頭の「Sam is 10 years old」です。このまま答えても文の構造としては問題ありませんが、「Sam」は「He」に変えて答えます。なるべく本文の言い回しを使いつつ、繰り返される固有名詞は代名詞に置き換えてください。
問題のレベルとしてはさほど難しくないので、落ち着いて取り組みましょう。
英検5級 スピーキングテストにおすすめの練習問題・ツール
スピーキングテストを受験する前には、いくつか問題に触れて形式慣れしておきたいところです。テキストを選ぶ際にスピーキングテスト対策も付いているものにしておくと安心です。
文法も分かりやすく解説されているので、初めての内容でも理解しやすいのが特徴です。スピーキングテスト対策としては、別冊に「スピーキングテスト丸分かりBOOK」が付いています。試験の全体像や予想問題が載っている他、実際にWeb上で体験することで本番の予行演習ができます。
過去問集として人気が高いのは、丁寧で分かりやすい解説と、欲しい情報がしっかり載っている安心感によるところでしょう。加えてスピーキングテストの予想問題も付いているので、スピーキングテスト対策としても役立ちます。
こちらは予想問題集なので、試験直前の追い込みで使う人が多い1冊です。過去問集同様に分かりやすい解説が付いている他、スピーキングテスト対策が充実していて、Web特典も付いています。
オンライン英会話なので、スピーキング力だけでなくリスニング力もしっかり身に付きます。英検5級に特化したコースであるため、文法や単語も5級レベルのものが使われていて、総合的な対策が可能です。
オンライン英会話は近年増えているので、こちらの記事も参考にしてください:
スピーキングテストも含めた英検5級合格を目指そう
英検5級は、英語の基礎固めとして最適なテストです。中学初級程度のレベルですが、ここをしっかりマスターしておかないと先に進めない部分でもあります。
そして本当の意味で基礎を固めるために、スピーキング力も鍛えておきましょう。実際に英語を使うには、読む・書く・聞く・話すという4つの技能が必要です。英語を理解する力はもちろん、表現する力も求められるということですね。
英検においても、3級以上では4技能それぞれが同じ配点で審査されます。スピーキング力を試される二次試験では、実際に面接官と直接会話しなければなりません。ほぼ同じ形式で行われる5級のスピーキングテストは、その練習としても良い機会ですよ。
成績表を通して自分の力を客観的に見ることで、弱点に気づくこともできるでしょう。直接英検5級の合否に関係する試験ではありませんが、今後の自分の英語力のためにもぜひスピーキングテストを受けてみてください。
英検の総合的な学習方法については、こちらの記事で解説しています。
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