英検を主催している公益財団法人日本英語検定協会によると、英検4級のレベルは「中学中級程度」となっています。
つまり、英語を習い始めて間もない小学生にとっては、かなり先取り的内容の試験。
何の対策も無しに受けたとしたら、合格するのは難しいでしょう。
それこそ、九九を教わった後すぐに暗唱しろと言われるようなものです。しかし、最初はスムーズに言えなかった九九も、今ではスラスラと言えるようになっていますよね。
それと同じように、英検4級という難しい試験であっても、しっかり対策をした上で臨めば小学生でも合格することは不可能ではありません。
中学受験を考えている人にとっては、英検4級を取得することで入試が免除になったり、採点上での加点が得られたりするなどの優遇が得られます。
また公立の中学校へ進む場合でも、入学後に英語でつまずく人が多い中、英検4級を取得しておくことで、有利な立場で勉強に臨むことができるようになります。
そして何より、小学生のうちに英検4級を志すという姿勢は、とても素晴らしいものです。是非その姿勢を形にして、今後の自信へと繋げていってもらいたいと思います。
この記事では、学習塾で長年小学生・中学生に英語を教えてきた私が、「英検4級の小学生の合格率」や、「合格に必要な英語力」、「合格するための勉強法」について、いくつかの項目に分けて詳しくご紹介していきます。
これを読めば、小学生で英検4級を目指すための準備はバッチリです!是非最後までお付き合いください。
小学生の英検4級合格率
2020年度に英検を受験した人は約370万人で、そのうち小学生は約33万人、つまり約10%は小学生の受験者ということになります。
英検受験者の数は年々右肩上がりに伸びており、小学生受験者もここ数年で30万人を下回ったことはありません。小学校で英語が必修となったこともあり、今後も小学生受験者の数は増えていくものと想定されます。
では、小学生での英検4級の合格率がどれくらいかと言うと、残念ながら日本英語検定協会では2014年度以降、小学生の英検合格率を公表していません。
そのため、2013年のデータではありますが、英検4級を受けた65,747人の小学生受験者のうち、40,804人が合格しています。つまり、約62%の小学生が合格しているという計算になります。
ちなみに、英検4級全体での合格率は、2016年発表のもので69.9%と、約7割の合格率となっています。
あれ、意外と高い?
そう思うよね。
しかし先述の通り、英検4級は小学生にとっては難しい試験であり、受けるからには皆しっかり対策した上で臨みます。
つまりこの数字はあくまで、英検4級合格へ向けてしっかり勉強した小学生の合格率ということになります。
英検4級合格は小学生にとって決して不可能ではないものの、しっかり対策をして勉強しなければ受からない水準の試験だと言えます。
英検4級の合格ライン
英検4級は、リーディング500点・リスニング500点・スピーキング500点の計1500満点の試験です。
このうちスピーキングは級の合否に関係しない任意の試験となりますので、実際にはリーディングとリスニングを合わせた1000点満点のうち、どれだけ得点できるかが勝負となります。
合格基準点は、622/1000点。
だいたい6割ほど得点できれば合格ラインに乗ることができる計算です。
しかし、英検では2016年度以降「英検CSEスコア」という採点基準を導入しており、単純な点数加点式ではなく、リーディングとリスニング、それぞれの技能をバランス良く取ることが求められるようになりました。
その結果、たとえばリーディングが500点満点、リスニングが150点というような、一方の技能が極端に低いような得点では合格することが難しくなりました。
英検4級に合格するためには、リーディングとリスニング、双方の英語力をしっかり高めていくことが必要不可欠です。
小学生が英検4級に合格するのに必要な英語力は?
繰り返しになりますが、英検4級は「中学中級程度」の英語力が問われる試験です。中学中級程度というのは、具体的に言えば中学2年生までに習う範囲が対象となります。
小学生がこのレベルの英語力に到達するために必須なのが、「語彙(ごい)力」と「文法力」です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
英検4級に必要な語彙力
「語彙力」というのは、理解できる英単語と熟語の量という意味です。
英検4級に必要な英単語の量は、約800~1300語ほどと言われています。
現在の教育課程では、小学校のうちに習う英単語の数は600~700語程度とされているので、英検4級に必要な量とは最大で600語ほどの差があります。
またこれに加え、英単語を組み合わせた「熟語」についてもある程度の知識が求められます。
英検4級では、Eメールやエッセイの形式での長文を読んだり、会話を聞き取るリスニング問題があったりして、それらを理解するために英単語・熟語の知識が必要不可欠です。
英検4級に必要な文法力
文法というのは、文章が成り立っている仕組み・法則を意味します。
日本語で「私は英語を話せます」という文は正しくても、「英語は私を話せます」は正しくないですよね。
この違いがわかるために必要なのが「文法」の知識です。
日本語は私たちの母国語なので、いちいち考えなくても正しいか間違っているかがわかります。しかし、日本語と違って英語は外国語です。そのため、文法をしっかり理解していないと、正しい英語の文を読み書きすることができません。
小学校の英語の授業では、「話す」・「聞く」というコミュニケーションを中心に教わると思いますが、この時文法まではなかなか教えてくれませんよね。
英検4級に合格するためには、文法をしっかり勉強しておくことがとても重要なものとなります。
英検4級を受けるにあたって、特に重要なのが以下の文法知識です。
英検4級受験前に、是非マスターしておきましょう。
- I, you, he, sheなどの代名詞
- be動詞と一般動詞
- 現在進行形
- 三単現のs
- 動詞の過去形
- 未来系
- 比較級・最上級
小学生が英検4級に合格するための勉強法
「英検4級がどれくらい難しいかはわかったけど、どうやって勉強すればいいの?」
ここまで読んでいただいた方の中には、こんな疑問が頭に浮かんだ人も多くいることでしょう。
そこでここからは、具体的にどのように勉強していけば良いかについて、段階に分けて説明していきたいと思います。
オススメの参考書についても紹介しているので、是非参考にしてみてください。
まずは語彙力を高めよう!
英検対策を始めるにあたり、必要不可欠なのが英単語と熟語、つまり語彙力です。
語彙力が無ければ、文章を読むことも、聞き取ることもままなりません。
語彙力を高めるためには、英単語帳を利用しましょう。
このとき注意したいのは、ただ見て意味を覚えるのでなくて、声に出して覚えるということ。
というのも、英検にはリーディングだけでなくリスニングもあります。せっかく覚えた英単語や熟語の知識も、文字だけの理解ではリスニングに活かせません。
リスニングでもしっかり対応できるように、文字としての知識、音声としての知識の両方で覚えておくことが大切です。
特にオススメなのが、以下の単語帳です。
【CD付】 英検4級 絵で覚える単熟語 三訂版 (旺文社英検書)
英検4級を受ける小学生のための単語帳。はじめての単語帳にオススメ。
フルカラーのイラスト付きで、重要な単語・熟語をイメージしながら覚えることができるのが特長。
テキスト内の漢字には全てふりがなが付いているので、無理なく学習に取り組めます。
【アプリ対応】英検4級 英単語 730 英検ランク順 (学研英検シリーズ)
英検4級の膨大な過去問データを分析し、特に出やすい730の単語・熟語が厳選されています。
『絵で覚える英単語』に比べて掲載数が多いので、より実践的な学習ができます。
アプリで音声を聞くことができるので、リスニング対策にもバッチリです。
文法知識を固めよう
ある程度の英単語・熟語がわかるようになったら、文法についての学習も始めましょう。
このとき注意したいのが、実際の例文を確認しながら学習するということ。
たとえば、「不定詞」という文法事項を知っていたとしても、それが具体的にどう英文で使われているのか知らなければ意味がありません。
“To study English is very difficult.”の”To study English”が不定詞で「英語を勉強すること」という意味だ。
というように、実際の例文で知識を確認しながら学習を進めることで、英検4級の問題を解く上で役立つ文法知識が養われます。
文法を学ぶには、以下の参考書がオススメです。
【CD付き】小学生のためのよくわかる英検4級合格ドリル 改訂増補版 (旺文社英検書)
全編オールカラーでの構成となっていて、はじめて英検対策をする小学生でも無理なく学習が進められます。
英検に必要な文法知識が基本から書かれているので、何も知らない状態からでも始めやすいのがポイントです。
【CD付】英検4級 を ひとつひとつわかりやすく。 (学研英検シリーズ)
英検4級の出題傾向を徹底的に分析し、ひとつひとつをやさしい言葉で解説した問題集。
1回分が見開き2ページに収まっているので、隙間時間にも学習しやすい構成になっています。
英語の文章を読めるようにしよう
英単語と熟語、そして文法についての理解が進んだら、英語の文章を読む練習をしましょう。
英検4級では、Eメールやエッセイなどの形式で英語長文での問題が出題されます。
そのため、ある程度長さのある英語長文を読み慣れておく必要があります。
このとき、英文は目で読むだけでなく、是非音読もするようにしましょう。
そうすることでリスニング対策にもなりますし、声に出すことでより自然な形で英文が理解できるようになります。
長文練習をする際オススメなのが、以下の参考書です。
【CD2枚付・音声アプリ対応】7日間完成 英検4級 予想問題ドリル 4訂版 (旺文社英検書)
英検4級の本番を想定して作られた問題集。
長文問題も数多く収録されているので、長文に慣れるためには打ってつけです。
7日間で完成するようになっているので、無理ないスケジュールで学習を進めることができます。
長文対策をするなら、中学校の教科書もオススメです。
お兄さんやお姉さんがいて中学校の教科書が手に入る場合は、是非それを使いましょう。
無い場合には、教科書ガイドが役立ちます。本文の和訳、音声CDも付いているので、スムーズに学習が進められます。
リンク先は代表例として東京書籍『NEW HORIZON』のガイドですが、もちろん他の出版社のものでもOKです。
過去問で繰り返し演習しよう
語彙力・文法知識・長文読解、以上の3点がある程度固まってきたら、後は実践あるのみ。
過去問を使ってガンガン演習をしていきましょう。
このとき、リスニング問題も忘れずに。
過去問は以下のものがオススメです。
最新の過去問5回分を収録。
CDも付属しているので、リスニング対策にもしっかり対応しています。
オリジナル模試が1回分付いているので、直前対策はこれで万全です。
オンライン英会話もオススメ
「英検4級を目指すにあたって、自分1人での学習で大丈夫だろうか…」
そんな風に不安を感じる人は、オンライン英会話を利用するのがオススメです。
オンライン英会話なら、自宅にいながらプロの講師によるレッスンを受けられ、スピーキングやリスニングも含めて、より効率的な学習に取り組むことができます。
中でも、教育業界で70年以上の実績がある「学研」が提供する「kiminiオンライン英会話」が特にオススメです。
先ほどもご紹介した学研の参考書『英検4級をひとつひとつわかりやすく。』をもとにした「英検®4級合格コース」という英検4級に特化したコースが用意されていて、英検4級合格に必要な単語・熟語の知識に加え、「話す・聴く・書く・読む」の4技能を総合的に身に付けることができます。
自分1人での学習では不安という人は、是非利用してみてください。
小学生での英検4級合格は充分可能!
英検4級は中学中級程度、小学生が受けるには難しい試験です。
しかし難しいからといって、不可能なわけではありません。しっかり対策を取った上で臨めば、小学生でも合格することは充分可能です。
事実、私が過去に指導した生徒さんの中にも、小学生で英検4級に合格できた子はたくさんいました。
簡単ではない試験だからこそ、それに合格した時の喜びはひとしおです。
今回ご紹介した勉強法を参考に、英検4級合格へ向けて是非一歩踏み出しましょう!
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