比較はその名の通り、2つ以上のものを比べる際に使う文法です。大きく分けると比較級、最上級、原級があり、中には不規則変化をする単語もあります。
比較は英検3級で扱われる文法の中でも出題頻度が高く、かつ間違えやすい部分です。英検4級でも比較表現は出題されましたが、3級ではさらに表現のバリエーションが増え、ライティングなどで実際に比較表現を使うことも求められます。
けれども細かなルールをきちんと理解することができれば、比較の問題を得点源にすることもできますよ。ここではつまずきやすいポイントを中心に、例題を通して比較表現の解説をしていきます。ぜひこの機会にマスターしておきましょう。
英検3級の総合的な学習方法を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
比較表現で使われるのは形容詞と副詞のみ!
比較表現で使われる単語は「可愛い」「速い」「静かに」など、形容詞と副詞です。「こちらの方がより机だ」「これが最も読む」とは言わないように、名詞や動詞は比較級・最上級にはなりません。
まずは基本の形を確認し、例題に挑戦してみましょう。
比較級の基本形を使いこなせるようにしておこう
【基本形】(形容詞・副詞)+er than 〜 (〜より…)
【例文】Tom runs faster than Ben. (トムはベンよりも速く走る)
まずは単語に「er」を付けます。このとき「late」のように語尾が「e」となる単語は、「r」のみを付けて「later」としましょう。
また、語尾が「y」で終わる場合は「y」を「i」に変えてから「er」を付けます。「easy」は「easier」、「happy」は「happier」になるということです。
さらに語尾が「短母音+子音」の場合は、子音を重ねてから「er」を付けなければなりません。このパターンの単語数は多くないので、1つずつ覚えても良いでしょう。「big」は「bigger」、「hot」は「hotter」、「fat」は「fatter」となります。
単語に「er」を付けたら、その後ろに「than」を置きます。比較級は2つのものを比べる表現なので、必ず「何と比べているのか」という対象が必要です。それを表すのが「than 〜」の部分となります。
合わせて、差の大きさを強調したい場合は「much」を使うことも知っておきましょう。「Mika runs much faster than Yuka.(ミカはユカよりだいぶ速く走る)」のように、比較級の前に入れて使います。
最上級の基本形もしっかり押さえておこう
【基本形】the (形容詞・副詞)+est (1番〜)
【例文】Tom runs the fastest in his class.(トムはクラスで1番速く走る)
最上級の場合は形容詞または副詞に「est」を付けると共に、その前に「the」を置きます。細かい部分ですが、穴埋め問題などでは「the」がヒントとなることも多いので、しっかり覚えておきましょう。
語尾が「e」の場合や「y」の場合、「短母音+子音」の場合など、細かいルールは比較級の場合と同様です。
1つ注意すべきは、「何の中で1番なのか」という内容を表す際に、「of」または「in」を使う点です。「of」と「in」を使い分ける際は、後ろに続く単語に注目してください。
・of+複数
・in+集合体、範囲
「of」の後ろには「of the three」「of all」など、複数を表す言葉が付きます。一方で「in」の場合は「in my class」「in Japan」など、集合を表す言葉が付くのです。間違えやすいポイントなので、違いをしっかり押さえておきましょう。
「more〜」「most〜」を使う場合もあるので注意しよう
【基本形】more (形容詞・副詞) than 〜 / the most (形容詞・副詞)
【例文】This photo is more beautiful than that one.(この写真はあの写真よりも美しい)
【例文2】This photo is the most beautiful of the three.(この写真は3枚の中で最も美しい)
厳密に言うと、3音節以上から成る単語の場合は「〜er」ではなく「more 〜」という形になります。音節で考えるのが分かりにくければ、「長い単語には more や most を使う」と考えて良いです。
「more」「most」が比較級、最上級を表しているため、その後ろに付く形容詞や副詞は形を変える必要がありません。2重の比較級・最上級にしてしまわないよう気をつけてください。
比較級・最上級の基本例題にチャレンジ
それではここまでの知識を使った問題に挑戦してみましょう。
( )の前後をよく見ることがポイントです。
【問題2】John is the ( ) in our class.
1. tall 2.taller 3.tallest 4.tell
【問題3】This book is ( ) than that one.
1. difficult 2.difficulter 3.more difficult 4. most difficult
解答・解説
【問題1】2.nicer
( )の後ろに「than」があることから、比較級が入ると分かります。比較級は「2.nicer」しかないため、数秒で解くことのできる問題です。
(日本語訳:私は青いシャツより赤いシャツの方が良いと思う)
【問題2】3.tallest
「the」の後ろに形容詞や動詞は入らないため、「1.tall」「4.tell」が選択肢から消えます。また、( )の後ろに「in our class」があることからも、最上級の「3.tallest」が正解だと分かります。
(日本語訳:ジョンは私たちのクラスで1番背が高い)
【問題3】3.more difficult
まず( )の後ろに「than」があることから、比較級が入ると分かります。そして「difficult」は「er」を付けるのではなく、「more」を付けることで比較級になる単語です。したがって答えは「3.more difficult」なります。
(日本語訳:この本はあの本よりも難しい)
比較級・最上級を使った疑問文に慣れておこう
比較表現を使った疑問文についても、答え方と合わせて確認しておきましょう。まず、「Yes/No」で答えられる疑問文の場合は、これまで学習してきた疑問文と同じ作り方です。
【例】Is this book cheaper than that one ? -Yes, it is.
【訳】この本はあの本よりも安いですか? -はい、そうです。
be動詞と主語の語順が入れ替わるのみですし、答え方も一般的なbe動詞の疑問文と同様です。これは最上級の場合も変わりません。
一方、物の場合は「Which」「What」、人の場合は「Who」を使った疑問文もよく使われます。「Which」は「どちら」という訳を覚えている人も多いかもしれませんが、比較級・最上級のどちらに使うこともできます。
【疑問文例】
Which is cheaper, this book or that book ? (この本とあの本ではどちらが安いですか?)
【答え方例】
This one (book) is. (この本です。)
答えの文は「This book is chaper than that book.」を省略した形です。英語は同じ文の繰り返しを嫌うので、「chaper 〜」の部分を再度書く必要はありません。
【疑問文例】
Who runs the fastest of the three ? (3人の中で誰が1番速く走りますか? )
【答え方例】
Lisa does. (リサです。)
「Who」を使った疑問文の場合、be動詞ではなく一般動詞を使う場合があります。その場合は答え方に注意しなければいけません。
上の例の場合、本来は「Lisa runs the fastest of the three.」という文ですが、繰り返しとなる「the fastest〜」の部分は省略します。すると「Lisa runs.」となるのですが、「run」の繰り返しも避けるため、「does」を使うのです。(主語がIやYouであれば「do」になります。)
be動詞の疑問文はbe動詞で受ける、一般動詞の疑問文はdo / doesで受ける、という基本を思い出しましょう。同様に「can」を使った疑問文の場合は「can」で受けます。
【問題】Who can swim ( ) in your family ? -My mother can.
1.fasted 2.faster 3.fastest 4.the fastest
解答・解説
4.the fastest
まず「1.fasted」を入れてしまうと、動詞が2つ続くことになってしまうため、文の構造上入りません。「2.faster」を入れる場合は、後ろに「A or B」の形が来なければいけないので、これも違います。
したがって正解は「4.the fastest」になります。「in your family」を見て最上級だと分かった人もいるかもしれませんね。ただ、慌てて「3.fastest」を選ばないようにしてください。最上級の場合は必ず「the」が必要です。
また、この場合は「can」を使った疑問文なので、答えの文も「can」が来ています。
原級を使った表現も知っておこう
原級は単語の形に変化がありません。ですが、比較表現の1つですし、知らないと正しく訳すことができない部分です。
覚えておくべき原級の表現は3つ
【例文】
He is as tall as you. (彼はあなたと同じくらい背が高い)
【例文2】
He is not as young as you. (彼はあなたほど若くない)
【例文3】
He has three times as many books as you. (彼はあなたの3倍多くの本を持っている)
「as」で挟まれた単語は形が変わらず、原級と呼ばれる比較表現になります。また、「as〜as」の間には形容詞や副詞が入るだけでなく、例文3の「many books」のように名詞とセットで入る場合もあります。
注意すべきは、否定文の訳し方です。「(主語)は(比較の対象)ほど〜でない」、つまり主語は比較の対象には及ばない、という意味を表します。
また、倍数を表す「数+times」ですが、「2倍」の場合は「two times」ではなく「twice」を使うことが多いです。「times」と「s」が付くことにも注意してください。
原級を使った基本例題にチャレンジ!
それでは原級を使った問題に挑戦してみましょう。空欄に入る選択肢を選ぶ問題ですが、意味も考えてください。
【問題1】You must read as ( ) as possible.
1.many book 2.many books 3.more books 4. books
【問題2】This problem is not ( ) as that one.
1.more difficult 2.difficult 3.as difficult 4.difficulter
【問題3】This pen is three ( ) as expensive as that one.
1.time 2.times 3.more 4.not
解答・解説
【問題1】2.many books
「as 〜 as…」を使った文なので、形容詞や副詞の原級が入ります。したがって「3.more books」「4.books」が選択肢から外れますね。また、「book」は可算名詞なので、複数の場合は複数形の「s」が必要です。そのため答えは「2.many books」 となります。「as 〜 as possible (できるだけ〜)」は重要表現なので、合わせて覚えておきましょう。
(日本語訳:あなたはできるだけたくさんの本を読まなければならない)
【問題2】3.as difficult
( )の後ろに「as」があることに気づけば、数秒で解くことのできる問題です。「not as 〜 as…」を使った文なので、「3.as difficult」が正解です。
(日本語訳:この問題はあの問題ほど難しくない)
【問題3】2.times
( )の前に「three」があることと、後ろに「as 〜 as…」の形が来ていることから判断できます。「数+times」で「〜倍」を表すので、「2.times」を入れると文が成立します。
「4.not」も一見入りそうですが、「three」とつながらなくなってしまうのでここでは使えません。選択肢を選んだら、一度文に入れてみて意味が通るか確認しておくと安心です。
(日本語訳:このペンはあのペンの3倍高い)
不規則変化をする単語は覚えるのみ
比較級や最上級になる際に「er」や「the most」などを使わず、不規則に変化する単語があります。数が限られているので、出るたびに確認しておきましょう。
以下によく出る単語をまとめておくので、覚えておいてください。
原級 | 比較級 | 最上級 |
many (much) | more | most |
good (well) | better | best |
bad (ill) | worse | worst |
little | less | least |
「better」「best」は、「like」と一緒に使われることも多いです。
【例文】Which do you like better, A or B? -I like A better.(AとBどちらの方が好きですか?-Aの方が好きです。)
リーディングはもちろんライティングでもよく使われる表現なので、使いこなせるようにしておきましょう。
解答・解説
2.worst
( )の前に「the」があることで、最上級の形が入ると分かります。選択肢の中で最上級は「2.worst」だけなので、不規則変化を覚えていればすぐに解くことができます。
日本語訳
A:バスケットボールのトーナメントはどうだった?
B:良くなかったよ。僕たちのチームはそこで最下位だったんだ)
さらに学習を深めるためのおすすめ書籍
比較表現を始め、それぞれの文法事項について詳しく学びたい人には下記の書籍がおすすめです。
・英検3級をひとつひとつわかりやすく。(学研プラス)
本で学ぶだけでなく、無料のレッスン動画を見ることもできます。そのため文字だとなかなか理解できない、集中力が続かない、という人にもおすすめですよ。問題演習も豊富なので、理解度をすぐに試すこともできます。
・英検3級総合対策教本(旺文社)
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さらに比較の知識を深めたいという場合は、比較用の練習問題をやってみるのも良いかもしれません。ただ、英検3級の合格を目標としているなら、こういった問題集をやりこんでいけば十分な実力が付くはずです。
比較表現をマスターして英検3級に臨もう
比較表現を使いこなすために、まずは基本の形を覚えましょう。使い方も合わせて押さえられるので、例文で覚えておくのも効果的ですよ。
リーディングの穴埋め問題で出題される場合は、( )の前後をヒントにして解いてください。「than」があれば比較級、「the」と「of / in〜」があれば最上級、「as」があれば原級…と短時間で選ぶことができます。ただ、選択したものを一度文に入れてみて、意味が通るかどうかの確認はしましょう。
また、不規則変化をする単語は覚えておくしかありません。中でも「better」「best」はよく使う表現なので、使い方と合わせて覚えてください。
とはいえ、比較表現の学習だけでは3級の対策として不十分です。合わせて3級の総合的な学習も進めましょう。
こちらの記事で学習方法について紹介しているので、参考にしてください。
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