英検3級のリスニングは、筆記試験が終わった後に約25分間行われます。英語の音声に25分の間集中するのはなかなか難しく、集中力との戦いになる場合もあるでしょう。いくら英文を聞いていても、集中できなければ意味をつかむことはできません。そのため一言一句逃さず聞こうとするのではなく、聞くべきポイントに集中力を傾けましょう。
そもそも日本ではリスニングに対して苦手意識を持っている人は多いです。ここではリスニングに対する苦手意識を分析し、解き方のコツを解説します。リスニングに苦手意識を持っている人はもちろん、よりリスニング力を高めたいという人もぜひ参考にしてください。
英検3級 リスニングの合格ライン
実はリスニング試験のみの合格ラインというものは定められていません。2016年度から導入されたCSEスコアでは、リーディング・ライティングと合わせた1103点が合格基準となっています。3技能を合計した満点スコアは1650点なので、平均して60〜70%の正答率で合格できるということになります。
ただ、問題の難易度等によって1問あたりのスコアが変わるので、「○点以上で合格」という基準は出せない仕組みです。自己採点で合格・不合格を判断することもできないというわけです。そのため60〜70%、できればそれ以上の正答率を目指して学習していきましょう。
リスニングで点数を稼いでおき、リーディングなど他の分野を補うことができると理想的ですね。
英検3級全体の難易度や合格ラインについては、下記記事で詳しく解説しています。
英検3級 リスニングが難しいと感じる原因と対策
リスニングに対して苦手意識を持っている人は、学習量が足りていない場合が多いです。
例えば英語を聞く、話すという学習を日常的に行っている人は少ないはずです。
ですが、これが「リスニングは難しい」と感じている原因かもしれません。
まずは自分がどちらのタイプに当たるか考えてみてください。
聞きとれても何を言っているか分からない
言葉としてははっきり聞き取れていても、話している内容が分からない、言葉の意味がつかめない…という人はこちらのタイプです。
主な原因は、語彙力が足りないこと。スクリプトを見て意味が分かる場合は、単語としては知っているはずです。ただ、音のインプットが不足していると、リスニングの際は知らない単語と同じ状態になってしまいます。
このタイプの場合、おすすめしたい対策は2点です。
まずは知っている単語を増やしましょう。英検の場合、スペルを正確に書く場面はライティングしかありません。したがって単語を書けるようにするというよりは、単語を見て意味が分かり、自分で発音できる状態にする必要があります。自分で発音できない単語は聞き取ることも難しいためです。
そして、そのために効果のある学習方法が音読なのです。単語帳を眺めながら覚えるのでなく、声に出して覚えるようにしてください。この時、必ず意味を考えながら音読するようにしましょう。頭の中で単語のスペル、意味、発音をセットにしていくイメージです。
英検3級に必要な単語は2000語ほどと言われています。かなりの語数なので、毎日コツコツと学習を重ねていくと良いですね。
リスニングのスピードについていけない
一方、言葉がはっきり聞き取れない、どこを話しているか分からなくなる…という人はこちらのタイプです。
原因としては、練習量が不足していることです。まずは毎日リスニングに取り組み、耳を慣らしていかなければなりません。リスニングには継続した学習が必要なので、短時間でも良いのでなるべく毎日行ってください。
以下の2点を意識した学習をしてみましょう。
練習に使ってほしいのは、目標スピードよりも少し速めの英文です。速さに慣れておけば、それより遅いものはゆっくり聞こえるようになりますよ。もちろん言っていることが全く分からない状態では意味がないので、自分に合ったスピードに調節してみましょう。最初はかなり負荷を感じるかもしれませんが、必ず慣れてきますので頑張ってください。
また、シャドーイングも効果があります。シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら、影のように音声を追いかけて復唱するという練習法です。発音とスピードを真似する必要があるので、集中して音声を聞くことができますよ。自分の発音を客観的に聞くためには、録音するのも良いですね。
シャドーイングに適したアプリは色々あるので、こちらの記事を参考に選んでください。
英検3級 リスニングの問題構成とコツ
英検3級では、設問ごとの間は10秒です。マークした後は次の選択肢を見ておくなど、この間を効果的に使うことができると良いですね。また、放送中にメモをとっても大丈夫です。
3部構成になっているので、それぞれの問題形式を確認していきましょう。
第1部(会話応答文)
イラストを見ながら会話を聞き、適切な応答を選択する問題です。設問数は10問ですが、それぞれ1回しか放送されないので注意してください。
また、登場人物はAとBの2人で、A→B→★Aの順に発言します。問われるのは★部分のAのセリフに対するBの応答で、3つの選択肢から応答として自然なものを選びます。したがって、絶対に集中すべき箇所は★部分のAのセリフです。
特に疑問文の文頭は聞き逃してはいけません。設問によっては、文頭さえ聞き取れれば答えが分かるものもあります。例えば「Where」が聞き取れれば、場所に対する質問ということが分かりますね。選択肢が「1 In the dining room. 2 He’s very happy. 3 At about ten.」であれば、他の部分が聞き取れなくても1が答えだと分かります。
ただ、★部分のAのセリフが疑問文でない場合もありますし、疑問詞だけでは選択肢が選びきれない問題もあります。そういった問題では前半の会話がヒントとなる場合が多いので、イラストより音声に集中しましょう。それでもどうしてもスピードについていけないという場合は、★部分のAのセリフ以降に集中してください。
第2部(会話内容理解)
こちらは会話の音声を聞き、内容に関する質問の答えを選択する問題です。設問数は10問で、質問も含めて2回放送されます。
問題用紙には選択肢が載っているので、ここを先に見ておくと聞き取るポイントが分かります。例えば選択肢が「1 Two. 2 Four. 3 Eight. 4 Twenty.」であれば、間違いなく数字に関する質問が出ますよね。その場合は音声を聞く際に、数字に集中すれば良いのです。とはいえ出てきた数字=答えではないので注意しましょう。
1回の放送で全てを聞き取るのは難しい、なかなかスピードについていけないという場合は、1回目と2回目で聞くポイントを変えてください。1回目の放送では全体の内容把握と質問文の確認を行い、2回目で答えを見つけるという方法が効果的です。
まず1回目の放送では、会話の最後に放送される質問文を必ず聞き取ります。注意すべきポイントは、第1部と違って疑問詞さえ聞き取れれば解ける…という問題はほとんどないことです。
選択肢には数字や場所など似たものが並んでいるのに加え、本文中に触れられたワードが入っている場合が多いのです。そのため質問文を聞く際は、文末まで気を抜いてはいけません。例えば「人数」だけでなく「昨年の人数」「男子の人数」など、細かいところまで聞き取る必要があります。
そして2回目の放送で答えを見つけます。この時もし答えが分からなかったとしても、悩んでいる時間はありません。何かしらにマークをした上で次の問題の選択肢を確認するなど、すぐに気持ちを切り替えるようにしましょう。
第3部(文の内容理解)
最後の問題となる第3部は英文を聞き、内容に関する質問の答えを選択する問題です。設問数は10問で、2回放送される点は第2部と同じです。
解き方も第2部とほとんど変わりません。
この解き方で十分対応できます。ただ、会話ではなく独白形式なので、集中力が保ちづらいという面があります。聞くポイントを意識しながら、集中力を維持してください。キーワードになりそうな部分はこまめにメモをとっておくのも良いですね。
英検3級 リスニング対策用のおすすめ本
リスニングに特化した問題集を使っても良いのですが、英検の問題形式に慣れることも必要です。そのためまずは過去問をしっかりやり込みながら語彙力強化をしていきましょう。
おすすめなのは、まず「英検3級 過去6回 全問題集」(旺文社)です。
丁寧な解説がついているだけでなく、音声のダウンロードをすることもできます。繰り返し聞く練習ができるのでとても良いですよ。
また、語彙力強化には「でる順 パス単」(旺文社)をおすすめします。
出題されやすい単語から順に載っているので効率的ですし、こちらも音声ダウンロードが可能です。日本英語検定協会推奨商品であるというのも安心ですね。
こうした本は1度使って終わりにするのではなく、しっかり身に付くまで繰り返し取り組むことが大切です。先に述べた音読やシャドーイングにもぜひ使ってください。
英検3級 リスニングの正答率を上げるためにできること
苦手な人も多いリスニングですが、効果的な対策をとることで正答率を上げていくことは十分可能です。まずはリスニングが苦手な原因を見つけ、それに合わせた対策を考えましょう。足りていないのは語彙力でしょうか、それとも練習量でしょうか。両方という場合もあるので、自分の中で優先順位を決めて取り組んでください。
また、問題の構成を知って、それぞれの解き方のコツをつかむことも必要です。第1部は1度しか放送されないので、ポイントに集中して聞き取ります。第2部・第3部は2回放送される点を生かしつつ、選択肢を先に読むなどの工夫をしてください。
聞く力を高めるためには、自分で発声することがとても重要です。ぜひ音読やシャドーイングを日々の学習に取り入れましょう。リスニングは英語の中でも特に継続が大事な分野なので、なるべく毎日取り組むことをおすすめします。
そしてリスニングの正答率が上がってきたら、バランス良く総合的な学習を進めましょう。
英検3級の総合的な学習方法が知りたい方は、こちらを参考にしてください。
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